【ぶどう】ポリフェノールが豊富なぶどうの栄養効果とは?
ぶどうはポリフェノールが豊富なことで知られていますね。
特に赤ワインはポリフェノールが豊富だと言われています。
ポリフェノールは健康に良いと言われていますが、実際どんな栄養効果があるのでしょうか。
そこで、今回はぶどうに含まれる営養素とポリフェノールの種類、そしてどんな栄養効果があるのかをご紹介します。
この記事の目次
ぶどうの栄養効果とは?
ヨーロッパでは、古くからぶどうは「畑のミルク」と呼ばれており、健康効果の高い果物としてワインと共に親しまれてきました。
ぶどうは次々と新しい品種が産まれており、その数は10,000種以上にも上ると言われています。
かつては、世界でもっとも多く生産されている果物でしたが、最近では、バナナ、柑橘類に次ぐ生産量となっているようです。
では、実際にぶどうにはどのような栄養効果があるのでしょうか。
ぶどうの栄養成分表
ぶどう100gに含まれる営養素は、次の通りです。
※ぶどう100gは、巨峰サイズで約10粒、デラウェアの中サイズ1房です。
※「-]は、ゼロか、ほぼゼロを表します。
成分 | ぶどう | 白ワイン | 赤ワイン | ロゼワイン |
エネルギー (kcal) | 59 | 73 | 73 | 77 |
たんぱく質 (g) | 0.4 | 0.1 | 0.2 | 0.1 |
ぶどう糖 (g) | 7.3 | 0.5 | 0.1 | 0.8 |
果糖 (g) | 7.1 | 0.6 | 0.1 | 1.7 |
水溶性食物繊維 (g) | 0.2 | – | – | – |
不溶性食物繊維 (g) | 0.3 | – | – | – |
ミネラル類 | ぶどう | 白ワイン | 赤ワイン | ロゼワイン |
ナトリウム (mg) | 1 | 3 | 2 | 4 |
カリウム (mg) | 130 | 60 | 110 | 60 |
カルシウム (mg) | 6 | 8 | 7 | 10 |
マグネシウム (mg) | 6 | 7 | 9 | 7 |
鉄 (mg) | 0.1 | 0.3 | 0.4 | 0.4 |
亜鉛 (mg) | 0.1 | – | – | – |
ビタミン類 | ぶどう | 白ワイン | 赤ワイン | ロゼワイン |
βカロテン (μg) | 21 | – | – | – |
ビタミンB1 (μg) | 0.04 | – | – | – |
ビタミンB2 (μg) | 0.01 | – | 0.01 | – |
ナイアシン (mg) | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.1 |
ビタミンB6 (mg) | 0.04 | 0.02 | 0.03 | 0.02 |
葉酸 (μg) | 4 | – | – | – |
パントテン酸 (mg) | 0.10 | 0.07 | 0.07 | – |
参考:食品成分データベース
ぶどうの主な栄養効果
疲労回復効果
ぶどうの甘味を出している成分は、ブドウ糖と果糖になります。
ブドウ糖は、人が活動するためのエネルギー元として欠かせない、重要な役割を担っています。
米やパン、芋類などを食べると、それらに含まれているでんぷんが分解されてブドウ糖になります。
ぶどうを食べると、ブドウ糖や果糖が直接腸から吸収されて、すぐにエネルギーに変わるため、素早く疲労を回復する効果があります。
スポーツなどで体を動かすときはもちろんですが、勉強や仕事などで脳を使うときもエネルギーを消耗しますので、疲れたらブドウ糖を摂取することで、集中力や効率アップにつながります。
このように、ブドウ糖は肉体疲労を回復するだけでなく、脳の働きを活性化し、集中力を高める効果もありまlす。
ブドウ糖は、その他に、赤血球や腎臓、一部の筋肉などを正常に動かす働きがあります。
果糖は、血糖値の上昇が緩やかなため、糖尿病のリスクは低くなります。
しかし、肝臓に送られた果糖のうち代謝できず余ったものは、中性脂肪となって体内に蓄積されますので、食べ過ぎには注意が必要です。
アントシアニンの効果
ぶどうには、ポリフェノールの一種で、ぶどうの色素成分であるアントシアニンが多く含まれています。
特に、ぶどうの皮や種の部分に多く含まれていますので、ぶどうを丸ごと使用する赤ワインに豊富に含まれています。
アントシアニンには、主に次の3つの効果があります。
抗酸化作用
体内には活性酸素と言う物質が常に発生しており、異物を撃退すると同時に、体内の細胞にもダメージを与えて老化を促進させるという難点があります。
アントシアニンには、増えすぎた活性酸素を除去する作用があり、これを抗酸化作用と言います。
活性酸素を取り除くことで、老化を抑制できると言われています。
動脈硬化の予防
アントシアニンは、悪玉コレステロールの増加を抑制し、血液をサラサラにする働きがあります。
血中のコレステロールが増加すると、動脈硬化を引き起こす原因となりますので、血液を綺麗にすることで、動脈硬化を予防することができます。
また、アントシアニンには、がんを予防する効果もあると言われています。
眼精疲労の解消
アントシアニンは、視力を司るロドプシンという物質の再合成を促進する作用があります。
ロドプシンが再合成されることで、視力の低下を防ぐことができます。
また、この作用から視力の低下を防ぐだけでなく、眼精疲労を解消する効果もあると言われています。
ただし、βカロテンが不足するとロドプシンが減少するため、βカロテンを同時に摂取することで、視力回復の効果が高まります。
タンニンの効果
ぶどうの皮や種には、ポリフェノールの一種である「タンニン」という渋み成分が豊富に含まれています。
タンニンは、ワインが熟成される際、酸化を防ぐという重要な役割を果たしています。
タンニンの主な効果は、次の3つです。
生活習慣病の予防
アントシアニン同様に強い抗酸化作用があり、老化を抑制したり、動脈硬化などの生活習慣病を防ぐ効果があります。
脂肪を燃焼する効果もあるため、肥満の予防にも役立ちます。
整腸作用
タンニンには、腸を刺激して腸を引き締める収れん作用を持つため、下痢を防ぐ効果があると言われています。
タンニンの収れん作用は、毛穴を引き締める効果もあるため、化粧品にも配合されています。
美白効果
タンニンは、メラニンを産生する物質の増殖を抑制する作用があるため、しみを防ぎ、美白効果があると言われています。
メラニンとは、しみの原因となる色素成分で、増えすぎると肌の奥に沈着して、やがてしみとなって肌の表面に現れます。
食欲を促進させるクエン酸
クエン酸とは、ぶどうに豊富に含まれている酸味成分で、有機酸のひとつになります。
ぶどうの他にも、レモンやみかんなどの柑橘類や、梅干しなどに含まれています。
クエン酸には様々な健康効果や美容効果がありますが、主な効果をご紹介します。
疲労回復
生物には糖質や脂質をエネルギーに変換するためのクエン酸回路と言う仕組みを持っています。
クエン酸が不足すると、 糖質や脂質が十分エネルギーに変換されないため、乳酸としてたまります。
乳酸とは、運動後やストレスなどにより発生し、体内に蓄積されていく疲労物質です。
クエン酸には、乳酸を分解して、尿と一緒に排出する作用があるため、疲労を回復する効果や、筋肉痛を予防する効果があります。
また、クエン酸は、胃液の分泌を促進させ、胃の活動を活発にする作用があり、食欲不振を回復させる効果があります。
生活習慣病の予防
血液がサラサラな状態の時は、弱アルカリ性です。
血液が酸性に傾くと、ドロドロになります。
クエン酸は、体内でアルカリ性として作用し、血液を弱アルカリ性へと変える働きがあります。
その結果、高血圧、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などの生活習慣病を防ぐことができます。
血液の循環が良くなることで、新陳代謝を促進し、冷え性を改善する効果も期待できます。
また、尿酸を体外へ排出するのを促進する作用もあります。
尿酸とは、尿の中の老廃物のことで、尿酸値が高い状態が続くと痛風が発症する確率が高くなります。
クエン酸には、尿酸値を下げる作用があるため、痛風の症状を緩和させる効果もあります。
美肌効果
クエン酸には、キレート作用があります。
キレート作用とは、吸収率の低い営養素を吸収率が高くなるように変えたり、毒素などの有害物質を排出しやすい形に変える作用のことを言います。
ミネラルは、通常、吸収率が低いのですが、キレート作用により体内への吸収率がアップします。
カルシウムやマンガン、鉄、亜鉛などのミネラルの吸収率がアップすると、体の隅々までミネラルが行き渡るようになり、健康効果があるだけでなく、肌も綺麗になります。
また、キレート作用には抗酸化作用があり、老化を抑制する効果もあります。
整腸作用を持つ酒石酸
酒石酸(しゅせきさん)とは、酸味のある果実によく含まれている有機酸のひとつで、特にぶどうやワインに多く含まれています。
ワインの醸造を行うと、樽の中に結晶となって付着するため、酒石酸と呼ばれるようになりました。
酒石酸には、腸内で悪玉菌が増殖するのを防ぎ、善玉菌を増やす作用があるため、便秘解消や便秘による肌荒れを改善したり、大腸がんのリスクを低減する効果などがあります。
便秘にも下痢にも効くにリンゴ酸
リンゴ酸も有機酸のひとつです。
りんごに含まれていることからリンゴ酸と言う名前が付きましたが、赤ぶどうにも豊富に含まれています。
リンゴ酸にも、抗酸化作用、整腸作用、疲労物質である乳酸を減らす作用などがあり、老化抑制、便秘や下痢の改善、疲労回復などの効果が期待できます。
赤ワインは抗酸化作用が高い!!
OPC(オリゴメリックプロアントシアニジン)とは、ポリフェノールの一種で、アントシアニンになる前の物質です。
OPCは無色ですが、後に赤い色のアントシアニンに変化します。
多くのポリフェノールの中でも、OPCはずば抜けて抗酸化作用が強いことが認められています。
そのため、老化を抑制する効果が高く、健康維持はもちろんのこと若々しい美肌を維持する効果も高いのです。
OPCは、ぶどうの種の部分に含まれています。
赤ワインは、種や皮も一緒に醸造されるため、OPCが豊富に含まれていますので、OPCの効果を得るには赤ワインが最適と言えます。
<まとめ>
ぶどうに含まれるぶどう糖と果糖は、すぐにエネルギーに変換されるため、ぶどうを食べると速攻元気になれます。
ですから、ぶどうは疲労回復にぴったりの果物です。
また、栄養成分表だけを見ると、ワインにはあまり栄養成分が含まれていないように見えますが、赤ワインはブドウの皮や種も使っているため、各種ポリフェノールがたっぷり含まれています。
ポリフェノールの特徴は抗酸化作用で、体の細胞を活性酸素から守り、細胞が酸化して老化が促進するのを防ぐ効果があります。
ですから、赤ワインや赤ワインを使用したビネガーは健康と若さを保つ効果を期待できます。