【栗】小さくても果物の中でトップクラスの栄養価!子供から高齢者まで嬉しい効果がたくさん!
栗は小さくても栄養がぎっしり詰まっています。
その栄養価の高さは、果物の中で断トツで、子供の成長促進から老化抑制まで、様々な効果があります。
実は、美肌効果も抜群です。
そんな栗の営養素と効果について、ご紹介します。
この記事の目次
果物の中でトップクラスの栄養価を持つ栗
縄文時代の主食だった栗は、栄養価の高い食べ物です。
子供の発育を助ける作用から、生活習慣病の予防まで、多くの効能を持っています。
女性にとって嬉しい美肌効果も、ぎっしり詰まっています。
そんな栗の栄養と効果をご紹介します。
栗の栄養成分比較表
果物100gに含まれる営養素は、次の通りです。
中サイズの栗1個の可食部は18g程度なので、100gは栗5~6個分になります。
※100gは、バナナ1本、りんご1/3個、柿2/3個、巨峰10粒(デラウェア1房)、梨1/3個、キウイ1.5個、みかん1個です。
※「-]は、ゼロか、ほぼゼロを表します。
※各栄養素の含有率が、最も高い数値の背景を赤にしています。
成分 | りんご | 柿 | ぶどう | 梨 | キウイ | みかん | 栗 | 甘栗 |
エネルギー (kcal) | 61 | 60 | 59 | 43 | 53 | 46 | 167 | 222 |
たんぱく質 (g) | 0.2 | 0.4 | 0.4 | 0.3 | 1.0 | 0.7 | 3.5 | 4.9 |
でんぷん (g) | 0.1 | – | – | – | 0.6 | 0 | 25.8 | 34.4 |
ぶどう糖 (g) | 1.4 | 4.8 | 7.3 | 1.4 | 3.7 | 1.7 | – | – |
果糖 (g) | 6.3 | 4.5 | 7.1 | 3.8 | 4.0 | 1.9 | – | – |
しょ糖 (g) | 5.0 | 3.8 | – | 2.9 | 1.4 | 5.3 | 4.2 | 4.2 |
水溶性食物繊維 (g) | 0.5 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.7 | 0.5 | 0.3 | 1.0 |
不溶性食物繊維 (g) | 1.4 | 1.4 | 0.3 | 0.7 | 1.8 | 0.5 | 6.3 | 7.5 |
ミネラル類 | りんご | 柿 | ぶどう | 梨 | キウイ | みかん | 栗 | 甘栗 |
カリウム (mg) | 120 | 170 | 130 | 140 | 290 | 150 | 460 | 560 |
カルシウム (mg) | 4 | 9 | 6 | 2 | 33 | 21 | 23 | 30 |
マグネシウム (mg) | 5 | 6 | 6 | 5 | 13 | 11 | 45 | 71 |
鉄 (mg) | 0.1 | 0.2 | 0.1 | – | 0.3 | 0.2 | 0.7 | 2.0 |
亜鉛 (mg) | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.6 | 0.9 |
ビタミン類 | りんご | 柿 | ぶどう | 梨 | キウイ | みかん | 栗 | 甘栗 |
αカロテン (μg) | – | 17 | – | – | – | – | 26 | 33 |
βカロテン (μg) | 22 | 160 | 21 | – | 66 | 180 | 24 | 52 |
トコフェロール (mg) | 0.4 | 0.1 | 0.3 | 0.1 | 1.3 | 0.4 | 3.3 | 12.3 |
ビタミンB1 (μg) | 0.02 | 0.03 | 0.04 | 0.02 | 0.01 | 0.10 | 0.17 | 0.20 |
ビタミンB2 (μg) | 0.01 | 0.02 | 0.01 | – | 0.02 | 0.03 | 0.08 | 0.18 |
ナイアシン (mg) | 0.1 | 0.3 | 0.1 | 0.2 | 0.3 | 0.3 | 1.0 | 1.3 |
ビタミンB6 (mg) | 0.04 | 0.06 | 0.04 | 0.02 | 0.12 | 0.06 | 0.26 | 0.37 |
葉酸 (μg) | 3 | 18 | 4 | 6 | 36 | 22 | 76 | 100 |
パントテン酸 (mg) | 0.05 | 0.28 | 0.10 | 0.14 | 0.29 | 0.23 | 1.06 | 0.57 |
ビタミンC (mg) | 6 | 70 | 2 | 3 | 69 | 32 | 26 | 2 |
参考:食品成分データベース
栗の主な効果
栗には様々な成分がバランスよく含まれており、次のような効果があります。
血圧を下げるカリウム
栗には、カリウムが豊富に含まれています。
塩分を摂り過ぎると高血圧になり、血管に負担がかかります。
その結果、動脈硬化、脳卒中などを引き起こします。
カリウムは、体内のナトリウムを排出して血圧を下げる作用があるため、動脈硬化、脳卒中などの予防に効果があります。
成長ホルモンの分泌を助ける亜鉛
亜鉛は現代人に不足し勝ちな営養素と言われています。
亜鉛は、たんぱく質の合成に欠かせない栄養素で、成長ホルモンの分泌を助ける働きがあるため、子供の発育にも重要な役割を持っています。
亜鉛が不足すると、成長の早い髪や爪にはすぐに影響が出て、髪がパサついたり、爪に縦じまが出たりします。
亜鉛をしっかり摂取すると、髪や爪が美しくなります。
老化を抑制するカロテン
カロテンには抗酸化作用があり、血管を強化したり、活性酸素を除去して老化を抑制する効果があります。
また、皮膚や粘膜を丈夫にしてウィルスが侵入するのを防ぐ働きがあり、風邪の予防に効果があります。
新陳代謝を促進する作用もあるため、肌のターンオーバーを促進させ、肌を美しく保つ効果もあります。
カロテンが不足すると、視力が低下したり、風邪をひきやすくなったり、口内炎が出来やすくなります。
肌も乾燥してカサカサしたり、ニキビができやすくなります。
疲労を回復するビタミンB1
ビタミンB1は、糖質の代謝を促進し、エネルギーに変える働きを助ける作用があるため、糖尿病の予防や疲労回復効果があります。
また、神経や筋肉の機能を正常に保つ重要な役割を持ち、不足すると様々な不調を引き起こします。
具体的には、イライラしやすくなって集中力が低下し、疲労感や倦怠感が次第に強くなっていきます。
ビタミンB1が慢性的に不足すると脚気になります。
新陳代謝を上げるビタミンB2
糖質、脂質、たんぱく質の代謝を促進し、エネルギーに変える働きをサポートします。
また、新陳代謝を上げて肌のターンオーバーを促進し、皮膚の健康を維持したり、子供の発育を助ける作用があることから、「美容のビタミン」とか「発育のビタミン」とも言われています。
アミノ酸の代謝を助けるビタミンB6
たんぱく質やアミノ酸の代謝を助けて、皮膚や粘膜、髪、歯、爪などの健康を維持します。
また、神経機能を正常に保つ効果があり、認知症の予防にも関係しています。
他にも動脈硬化の予防、アレルギー症状の緩和などの効果があります。
不足すると貧血になる葉酸
葉酸は、血液中の赤血球を生成する作用があり、不足すると貧血になります。
また、他のビタミン群と協力し合って、心臓病や動脈硬化を引き起こす原因となる物質、ホモシステインを減少させます。
葉酸が不足した状態が続くと、口内炎ができたり、食欲不振、下痢などを引き起こします。
美肌効果抜群のビタミンC
ビタミンCには、強い抗酸化作用があり、老化を抑制する効果や、肌にハリを持たせてシミを予防するなど美肌効果があります。
ビタミンCはコラーゲンの生成を助ける働きがあるため、不足すると肌のツヤや弾力がなくなり、肌荒れしやすくなります。
また、免疫力を高める作用があり、風邪を予防する効果があります。
その他に、疲労回復や、ストレスに対する抵抗力を高める効果などもあります。
腸内環境を整える食物繊維
食物繊維は整腸作用があり、便秘を解消したり、腸内の善玉菌を増やす効果があります。
栗に多く含まれているのは不溶性食物繊維で、胃や腸で水分を吸収して大きく膨らむため、栗を食べると満腹感を得られやすく、小腹が空いたときにお勧めの食べ物です
また、食物繊維は、体内の毒素などの有害物質や老廃物を排出するデトックス効果もあります。
渋皮に含まれるタンニン
栗の渋皮には、ポリフェノールの一種であるタンニンが含まれています。
タンニンは、非常に抗酸化作用が強く、活性酸素を除去して老化を抑制する働きがあります。
また、最近ではガンの予防に対する効果も期待されています。
栗に関する情報
栗はおやつにぴったり!
栗は、多くの栄養素をバランス良く含んでおり、小さくても満腹感を得られやすい食べ物です。
ですから、間食やちょっと小腹が空いたときなどにお勧めです。
また、子供の発育を助ける効果もありますので、お子様のおやつとしてもお勧めです。
栗を食べる時の注意点
栗の渋皮に多く含まれているタンニンは、鉄分と結合して鉄分の吸収を阻害する作用があります。
ですから、鉄欠乏性貧血の方は渋皮付きの栗は控えるか、食べる量を調整するといいでしょう。
また、栗はカロリーが比較的高く、にほん栗であれば、5~6個で167kcal、甘栗であれば5~6個で222kcalになります。
ダイエット中の方は食べ過ぎにご注意ください。
マロンは栗じゃない?!
はい、マロンは栗ではありません。
マロンとは、フランス語でマロニエの木の実のことを言います。
つまり、マロングラッセは、元々マロニエの木の実を使っていたのです。
しかし、日本にマロニエの木が少ないことから、栗を代用したマロングラッセが日本で大人気となって広まったため、マロンと言えば栗と思う日本人が増えて、いつの間にか栗をマロンと呼ぶようになったと言うわけです。
ちなみに、栗を英語では、chestnut(チェスナット)と言います。
栗は果物?木の実?
ネット上には「栗は果物だ」という意見と「栗は木の実だ」という意見があります。
前述のとおり、栗は英語でchestnut(チェスナット)と言います。
「nut」に当たる日本語は、「木の実」となります。
農林水産省のサイトでは、栗はナッツ類として掲載されています。
ナッツ類は、多種類の樹木や潅木の種子であり、油性の種子の周囲に硬く食べられない 外皮を持つことが特徴。
しかし、「栗は果物である」と言う意見も間違いではありません。
なぜなら、「果物」や「野菜」と言った言葉は、「人為分類」と言って、人が区別しやすいように付けた名前であって、そもそも正確な定義がないのです。
つまり、状況によって分類方法が異なるのです。
例えば、「木になる果実は果物で、地面になる果実は野菜」と定義して分類するとします。
この場合、栗は木になる果実なので「果物」に分類され、メロンは「野菜」に分類されます。
また、「タネを食べるのが木の実で、タネの周りを食べるのが果物」と定義して分類するとします。
この場合、栗の可食部分はタネなので、栗は「木の実」で、メロンは「果物」になります。
農林水産省に、似たような質問が寄せられていますので、参考にご覧ください。
⇒ 野菜と果物の違いを教えてください。また、すいか、メロンは野菜、果物のどちらですか。
ちなみに、栗は植物学的には「真正バラ類ブナ目ブナ科クリ属クリ 」となり、このように体系化されている分け方を「系統分類」などと言います。
<まとめ>
栗は、縄文時代から日本人にとって大切な栄養元として食べられてきました。
そんな、私たちの先祖の食生活を支えてきた栗は、日本のほぼ全都道府県で栽培されており、生産量は多い順に、茨城県、熊本県、愛媛県となっています。
子供の頃、栗拾いをした経験のある方も多いと思います。
懐かしい子供時代を思い出しながら、栗を味わってみてはいかがでしょうか。