貧血や不眠症に効果あり!意外と知られていないカシューナッツの栄養効果
勾玉(まがたま)のような形が特徴的なカシューナッツ。
最近は、スーパーで普通に買える身近な食材になりましたが、その栄養効果は意外と知らない人が多いようです。
実はカシューナッツには、優れた栄養効果がぎっしり詰まっています!
この記事の目次
意外と知られていないカシューナッツの栄養効果
カシューナッツの原産地はブラジルで、16世紀末にポルトガル人によってインドを始め、世界に伝えられました。
特にインドでは独自の脱殻技術を持っていることから、自国の生産に加えて他国からも多くの殻付きカシューナッツを買い付けて、脱殻して生産しているため、カシューナッツの生産量は世界でトップとなっています。
日本では、以前は珍しかったカシューナッツですが、最近はスーパーでもよく見かける身近な食材になりました。
しかし、カシューナッツの栄養効果は、意外と知らない人が多いのではないでしょうか。
実はカシューナッツは、現代の日本人に不足していると言われる鉄分、亜鉛が豊富で、様々な栄養効果があります。
また、精神を安定させ、不眠症を改善する効果があると言われるトリプトファンも豊富です。
そんなカシューナッツに含まれる栄養成分と効果を詳しくご紹介します。
是非、参考にしてみてはいかがでしょうか。
カシューナッツの栄養成分比較表
カシューナッツ100gに含まれる営養素は、次の通りです。
各種の種実類100gに含まれる栄養成分と比較しています。
※各栄養素の含有率が、最も高い数値の背景を赤にしています。
※トコフェロールとは、ビタミンEのことです。
※不飽和脂肪酸は動物性脂肪酸、一価不飽和脂肪酸はオメガ9系、n3系不飽和脂肪酸はオメガ3系、n6系不飽和脂肪酸はオメガ6系脂肪酸を指します。
成分 | ぎんなん | 栗 | くるみ | ピスタチオ | マカダミアナッツ | アーモンド | ピーナッツ | カシューナッツ |
1粒の重量 (g) | 1.6 | 19 | 2 | 0.5 | 2 | 1 | 0.7 | 1.5 |
一日の適量 (g) | 16 | 100 | 20 | 20 | 20 | 20 | 20 | 20 |
エネルギー (kcal) | 174 | 167 | 674 | 615 | 720 | 608 | 585 | 576 |
たんぱく質 (g) | 4.6 | 3.5 | 14.6 | 17.4 | 8.3 | 20.3 | 26.5 | 19.8 |
トリプトファン (mg) | 77 | 45 | 200 | 270 | 96 | 220 | 不明 | 360 |
水溶性食物繊維 (g) | 0.2 | 0.3 | 0.6 | 0.9 | 微量 | 1.1 | 0.3 | 0.8 |
不溶性食物繊維 (g) | 2.2 | 6.3 | 6.9 | 8.3 | 6.2 | 10.0 | 6.9 | 5.9 |
脂質類 | ぎんなん | 栗 | くるみ | ピスタチオ | マカダミアナッツ | アーモンド | ピーナッツ | カシューナッツ |
脂質 (g) | 1.5 | 0.6 | 68.8 | 56.1 | 76.7 | 54.1 | 49.4 | 47.6 |
飽和脂肪酸 (g) | 0.15 | 0.11 | 6.87 | 6.15 | 12.46 | 4.13 | 10.76 | 9.97 |
一価不飽和脂肪酸 (g) | 0.45 | 0.06 | 10.26 | 30.92 | 59.23 | 35.09 | 20.57 | 27.74 |
n3系不飽和脂肪酸 (g) | 0.03 | 0.06 | 8.96 | 0.20 | 0.09 | 0.01 | 0.10 | 0.08 |
n6系不飽和脂肪酸 (g) | 0.53 | 0.25 | 41.32 | 16.22 | 1.47 | 12.64 | 16.72 | 8.00 |
ミネラル類 | ぎんなん | 栗 | くるみ | ピスタチオ | マカダミアナッツ | アーモンド | ピーナッツ | カシューナッツ |
ナトリウム | 1 | 1 | 4 | 270 | 190 | 微量 | 2 | 220 |
カリウム (mg) | 580 | 460 | 540 | 970 | 300 | 740 | 770 | 590 |
カルシウム (mg) | 5 | 23 | 85 | 120 | 47 | 260 | 50 | 38 |
マグネシウム (mg) | 45 | 45 | 150 | 120 | 94 | 310 | 200 | 240 |
鉄 (mg) | 1.2 | 0.7 | 2.6 | 3.0 | 1.3 | 3.7 | 1.7 | 4.8 |
亜鉛 (mg) | 0.4 | 0.6 | 2.6 | 2.5 | 0.7 | 3.7 | 3.0 | 5.4 |
ビタミン類 | ぎんなん | 栗 | くるみ | ピスタチオ | マカダミアナッツ | アーモンド | ピーナッツ | カシューナッツ |
βカロテン当量 (μg) | 290 | 37 | 23 | 120 | 微量 | 9 | 7 | 10 |
αトコフェロール (mg) | 1.6 | 0 | 1.2 | 1.4 | 微量 | 28.8 | 10.6 | 0.6 |
γトコフェロール (mg) | 0.3 | 3.3 | 23.6 | 25.5 | 0 | 0.7 | 7.1 | 5.4 |
ビタミンK (mg) | 3 | 0 | 7 | 29 | 5 | 0 | 微量 | 28 |
ビタミンB1 (μg) | 0.26 | 0.17 | 0.26 | 0.43 | 0.21 | 0.03 | 0.23 | 0.54 |
ビタミンB2 (μg) | 0.07 | 0.08 | 0.15 | 0.24 | 0.09 | 1.04 | 0.10 | 0.18 |
ビタミン類 | ぎんなん | 栗 | くるみ | ピスタチオ | マカダミアナッツ | アーモンド | ピーナッツ | カシューナッツ |
ナイアシン (mg) | 1.0 | 1.0 | 1.0 | 1.0 | 2.1 | 3.9 | 17.0 | 0.9 |
ビタミンB6 (mg) | 0.02 | 0.26 | 0.49 | 1.22 | 0.21 | 0.08 | 0.46 | 0.36 |
葉酸 (μg) | 38 | 76 | 91 | 59 | 16 | 48 | 57 | 63 |
パントテン酸 (mg) | 1.02 | 1.06 | 0.67 | 1.06 | 0.50 | 0.26 | 2.19 | 1.32 |
ビタミンC (mg) | 23 | 26 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
参考:食品成分データベース
カシューナッツの栄養効果
疲労回復効果
カシューナッツに豊富に含まれているビタミンB1は、「疲労回復のビタミン」とも呼ばれています。
ビタミンB1は酵素の働きを助け、糖質の代謝を促進する働きがあります。
ビタミンB1が不足すると、糖質をエネルギーに変えることができないため、エネルギー不足となって疲労してしまいます。
また、激しい運動をすると、体は平常時よりも多くの酸素を必要とします。
ピスタチオに豊富に含まれる鉄分は、全身の細胞や筋肉に酸素や栄養を運ぶヘモグロビンの働きを促進し、体力を回復する効果があります。
味覚障害の予防、改善
カシューナッツには、亜鉛が豊富に含まれています。
亜鉛は、味覚を正常に保つために必要な栄養素です。
しかし、日本人の多くは亜鉛不足と言われています。
舌の表面には、味蕾 (みらい)という味覚を感じる細胞がありますが、常に再生を繰り返しています。
亜鉛が不足すると、味蕾の再生が停滞して味覚障害を引き起こし、味がわからなくなって何を食べても美味しくないと感じるようになります。
このような症状があったら、亜鉛不足を疑って、カシューナッツを摂取することをお勧めします。
育毛効果、抜け毛予防
亜鉛には育毛効果や抜け毛を予防する効果があります。
亜鉛は、酵素としてタンパク質の代謝を助け、細胞の生まれ変わりを促進する働きをします。
例えば、子供の発育を助けたり、肌、爪、胃腸などの再生をサポートします。
髪の毛は主にたんぱく質からできていますが、亜鉛はたんぱく質の合成を助ける役割を持っているため、頭皮や毛髪の発育を促進する効果や、抜け毛を防ぐ効果があります。
育毛効果を得るには栄養状態が重要になってきますので、バランスの良い食事を心掛けましょう。
貧血予防、改善
ナッツ類はミネラルを多く含んでいますが、カシューナッツの亜鉛と鉄分の量は、ナッツ類の中でもトップクラスです。
鉄分は、赤血球のヘモグロビンを構成する成分で、血液を通して全身の細胞や筋肉に酸素を運ぶ役割を持っています。
鉄分が不足すると、血液のヘモグロビンが減少して、血液が薄くなり、貧血になります。
また、酸素が全身に充分行き届かなくなるため、酸欠状態になり、疲れやすくなります。
特に、月経の時期は貧血を起こしやすいので、鉄分を多目に摂取する必要があります。
更にカシューナッツに含まれている銅は、鉄分の吸収を助ける働きがあるため、効率よく鉄分を吸収することができます。
このように、鉄分や銅などのミネラルを多く含むカシューナッツは貧血の予防、改善に非常に効果的で、お勧めの食べ物です。
生活習慣病の予防、改善
カシューナッツに含まれているオレイン酸は、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増加させる働きがあります。
悪玉コレステロールは、心臓病、動脈硬化、脳卒中、糖尿病、高血圧などの生活習慣病全般の原因となりますので、悪玉コレステロールを減少させると、これらの生活習慣病を予防、改善することができます。
また、亜鉛は、血糖値を下げる働きを持つホルモン、インスリンの分泌量を調節する働きがあり、血糖値を正常に保つ効果があります。
血糖値の上昇を抑えることができると、糖尿病のリスクを軽減させることができます。
また、亜鉛には血圧を下げる働きもあるため、高血圧の予防や改善にも効果があります。
PMSの改善、精力アップ
亜鉛は生殖機能にも関わっている成分で、精子の形成をサポートし、精力アップにも繋がると言われています。
また、女性ホルモンの分泌を活性化させたり、卵巣機能を高める効果があります。
亜鉛が不足すると、卵巣機能が低下して、PMSの症状が強くなったり、生理不順になると言われています。
このように、亜鉛は男性にとっても女性にとっても重要な役割を果たしています。
精神安定効果や不眠症の予防、改善
糖質は、肉体的疲労を回復する効果がありますが、脳の疲労や精神的疲労を回復させる効果もあります。
ビタミンB1は糖質の代謝を助ける働きがあり、脳の神経を安定させるため、精神を落ち着かせる効果があります。
糖質の代謝が低下すると、脳がエネルギー不足になり、イライラしたり、落ち着きがなくなったり、集中力の低下等を引き起こします。
カシューナッツはミネラルも豊富ですが、マグネシウムなどのミネラルには神経伝達を正常に保つ働きがあり、精神を安定させる効果があります。
また、カシューナッツに多く含まれているトリプトファンは、精神を安定させ、不眠症を改善する効果があります。
トリプトファンは、神経伝達物質であるセロトニンの原料となります。
セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれる物質で、精神を安定させる効果があり、うつ病やパニック障害、不安障害などの改善にも効果があると言われています。
更に、セロトニンは脳で濃度が高まると「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンに変換されます。
メラトニンには、体内時計を調整する働きがあり、イライラや興奮を鎮めて、寝つきを良くし、熟睡に導く効果があります。
便秘解消
カシューナッツにはオレイン酸が多く含まれています。
オレイン酸は、腸を刺激して、腸の蠕動運動を活発にするため、便秘を解消する効果があります。
また、カシューナッツに含まれる食物繊維も腸の活動を活発にし、便秘解消に効果があります。
骨粗鬆症の予防、改善
カシューナッツには、マグネシウム、鉄、亜鉛が豊富に含まれています。
マグネシウムは、カルシウムと共に骨や歯を形成する成分となります。
また、他のミネラルと協力して骨や歯を丈夫にする働きもあります。
骨の健康を維持するためには、カルシウムとマグネシウムのバランスが大切となりますので、食事でカルシウムを豊富に含む乳製品や魚介類をしっかり食べるようにすると、より効果的です。
ダイエット
カシューナッツに含まれるオレイン酸は、代謝を上げる効果があるので、ダイエットにも効果があります。
また、カシューナッツには食物繊維も含まれており、便秘解消にも効果がありますので、体内の老廃物を排出してくれます。
ナッツ類はミネラルが豊富で栄養価が高く、カロリーが高くても太りにくい食べ物なので、ダイエット中に小腹がすいたときや、栄養補給として摂取するのに向いています。
二日酔いを防ぐ効果
カシューナッツは亜鉛が豊富ですが、亜鉛はアルコールの分解を促進する効果があります。
お酒などを飲んだ後、体内でアルコールの分解がうまく行かないと、二日酔いや肝硬変の原因となりますので、アルコールを良く摂取する人は、意識して亜鉛を摂取すると良いでしょう。
<まとめ>
見た目が可愛らしいカシューナッツですが、実は優れた栄養効果があります。
様々な栄養効果がありますが、やはり食べ過ぎには注意しましょう。
カシューナッツの摂取量は、1日に20g(10~15粒)が目安です。
カシューナッツは、鉄や亜鉛などの日本人に不足し勝ちな営養素が豊富に含まれています。
また、カロリーも比較的高いので、少量でも満腹感を得ることができます。
しかも、太りにくいので、おやつや補助食としてぴったりです。
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